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コラム

雨樋の金具の素材にはどんな種類がある?それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説!

雨樋金具取り付け

「雨樋の金具の素材にはどんな種類がある?」
「雨樋の金具の特徴を知りたい」
こういった疑問を持っている人は多いでしょう。

この記事では、雨樋に使う金具の素材について、種類別にわかりやすく説明します。
記事を読み、それぞれの特徴を知ることで、自宅に適した雨樋金具を選びやすくなるでしょう。

 

金具を取り付ける雨樋の種類と名称

取り付ける金具について知る前に、まずは雨樋の各部位の名称と役割を把握しましょう。
雨樋の各部位によって取り付ける金具の種類は変わります。
金具を取り付ける雨樋は「軒樋」と「縦樋」の2箇所です。
それぞれ役割が異なるため、適切な金具を選ばないと取り付けができません。
軒樋と縦樋の特徴を理解して、金具選びに役立てましょう。

 

軒樋(のきどい)

軒樋は、屋根に対して水平方向に取り付けられた雨樋のことです。
屋根から流れる雨水を受け、縦樋に排水する役割があります。
一般的に普及している軒樋の形状は以下の通りです。

・半丸型
・角型
・特殊型

半丸型はもっともポピュラーで価格が安く、カラーバリエーションも豊富です。
角型は断面が四角形になっており、半丸型と比べて流水量が多い特徴を持っています。
特殊型は、雪や落ち葉が雨樋に入らないように覆いがついているタイプです。

軒樋に金具を固定する際は、鼻隠しと呼ばれる屋根下の垂木に取り付けます。
金具の取付間隔は、一般的に45~60cmです。
流れてくる雨水の荷重がかかるため、金具でしっかり固定する必要があります。

 

縦樋(たてどい)

縦樋は、外壁に沿って縦に取り付けられた雨樋のことです。
形状は主に「丸形」と「角型」の2種類で、軒樋から流れてくる雨水を地上や下水へと流す役割があります。

縦樋に使用する金具は、45~60cmの間隔をあけて外壁に取り付けて固定します。
固定が甘いと、風に煽られて歪みや破損を引き起こす原因になるため、しっかり取り付けることが重要です。

縦樋の種類によって固定間隔は変わるため、気になる方は施工業者に確認しておきましょう。

 

軒樋(のきどい)に取り付ける金具の種類

軒樋が落下しないように支える役割があります。
取り付ける際は、雨水を集水器に導くために勾配を付けながら固定していきます。
軒樋に取り付ける金具は主に「吊り金具」と「受け金具」で、鼻隠し付近に固定するのが一般的です。

それぞれの取り付け方法は異なるため、軒樋の形状や鼻隠しの状況に合わせて選定します。
どのような金具が現在使われているか確認し、特徴を押さえましょう。

 

吊り金具

吊り金具は、上から吊って固定するタイプです。
固定箇所に正面から鼻隠し部分にビスを打ち込む「正面打ちタイプ」の吊り金具が多く、住宅にもよく使われています。

吊り金具のビスは2箇所で固定するので、高い耐久性を発揮します。
正面打ちタイプだと固定部分が見えてしまうため、丁寧に取り付けて景観を損ねないようにすることが大事です。
軒樋の色に合わせて金具を選べば、おしゃれな見た目になるでしょう。

正面に打ち込めない場合は、垂木に固定する「横打ちタイプ」を使います。
出幅を統一しないと屋根から流れる雨水が入りづらく、流れにくくなる恐れがあるため、調整しながら固定する必要があります。

 

受け金具

受け金具は、下から雨樋の荷重を支えるタイプの金具です。
主に、正面打ちタイプと打ち込みタイプが使われています。
ビスが見える正面打ちタイプだと、留めている箇所が隠れないため、あまり使われていません。

受け金具に多いのは、固定箇所に直接杭を打ち込む「打ち込みタイプ」です。
垂木に深く打ち込むので、経年で外れるリスクが少ない利点があります。

打ち込みタイプの受け金具は、鼻隠しの垂木にピンポイントに設置する必要があるため、しっかり下調べを行います。
モルタル仕上げの鼻隠しに直接打ち付けると割れる可能性があるため、下穴をあけてから金具を取り付けるのが一般的です。

 

縦樋(たてどい)に取り付ける金具の種類

縦樋でんでん
縦樋は、控え金具と呼ばれるパーツで固定されています。
形状にかかわらず「でんでん」や「樋バンド」と呼ばれることもありますが、厳密には違う種類です。

縦樋に使われる控え金具は、主に以下の二種類です。

・でんでん(打ち込みタイプ)
・トンボ(ビス固定タイプ)

それぞれの特徴を解説します。

 

でんでん(打ち込みタイプ)

でんでんは、杭を直接壁に打ち込むタイプの金具です。
でんでん太鼓に似た形をしていることが由来で「でんでん」と呼ばれています。
壁に直接打ち込むため、外れるリスクが少なく、高い安定性を発揮します。

取り付け方法は、壁に打ち込んでから縦樋をはめて金具の爪を固定するだけです。
引き抜く際は、無理やり行うと外壁を破損させる可能性があるため注意しながら作業をしましょう。
経年劣化によって金具の爪が固くなってしまっている場合は、ドライバーやペンチを使って外すと被害が出にくくなります。

 

トンボ(ビス固定タイプ)

トンボは、取り付け部分がT字型になっており、2箇所の穴にビスを埋め込んで固定します。

打ち込みタイプのでんでんとの大きな違いは固定方法です。
ビスで固定するため、取り外す作業はでんでんよりも簡単です。
打ち込みタイプで固定できない箇所にも取り付けられるので、高い汎用性を発揮します。
ただし、直接杭を打ち込むでんでんよりは耐久性が落ちる点に注意しましょう。

縦樋の形状や外壁の状態に合わせてトンボを使用するか判断してみてください。

 

雨樋の金具(留め具)の素材の種類

横打ち

雨樋の金具の素材には、主に下記の6種類があります。

・鉄
・亜鉛メッキ
・真鍮(しんちゅう)
・ステンレス
・銅
・樹脂(プラスチック)

雨樋の金具は、壁や柱に樋を取り付けるために必要な部品で、さまざまな素材が使われています。
それぞれの素材のメリット、デメリットを解説していきましょう。

 

鉄には、強度が高く加工しやすいという特徴があります。

鉄は削ったり熱を加えて溶接したりと、目的に合わせた様々な加工方法があります。
生産量が多く、価格も手頃で、手に入りやすいのもメリットです。

一方、水に濡れるとサビやすくなることが欠点です。
表面に赤サビが発生すると、どんどんと進行して、強度が弱まってしまいます。

サビを防ぐためには、メッキ処理や塗装を施す必要があります。
雨樋の鉄の金具がサビた場合は、修理の際にサビに強いステンレス素材に付け替えるケースも多いです。

雨樋金具では鉄はほとんど使われていません。
使われているとすると発生するサビがデザインとして成立する建物だけです。

現在は手に入れるのも非常に困難な材料です。

 

亜鉛メッキ

亜鉛メッキとは、表面に金属の塗膜を付けるメッキ加工を施した素材です。

メッキ加工は、腐食やサビを防止したり、見た目をきれいにしたりする効果があります。
大きなメリットは、見た目の高級感と高い耐久性です。

しかし、メッキに傷や剥がれがあると、サビや傷みの原因となり、劣化が進んでしまうので注意が必要です。

建材に使用する亜鉛メッキ製品には、屋根や雨樋などにも使用されているトタンが挙げられます。

 

真鍮(しんちゅう)

真鍮とは、銅と亜鉛の合金で、亜鉛の含有率が20%以上の素材のことです。

真鍮の大きなメリットは高い伝導性で、コンセントやコネクターなどの電気部品にも多く使用されています。
熱を加えることによってさまざまな形に加工できるため、サックスやトランペットなどの金管楽器にも使われています。

一方、経年劣化で表面が酸化すると、黒ずみやすくなることがデメリットです。
黒ずみを防ぐためには、トップコートの塗布やメッキ加工が効果的です。

真鍮は、外見の美しさから雨樋の金具だけでなく、おしゃれな鎖樋にも使われています。

ただし、見た目を重視した式場や遊園地などの建物には使われますが、高額なため、住宅ではほぼ使用されておりません。

 

ステンレス

ステンレスは、鉄にクロムやニッケルなどの金属を混ぜてつくられた合金です。

最大のメリットは、高い耐久性とサビにくい性質です。
表面にある不動態皮膜という薄いバリアが、ステンレス製品を腐食から守る役割を担っています。

ステンレスはサビないと考えている方も多いのですが、鉄が主成分のため、いつかはサビが発生してしまいます。
価格は鉄の数倍高く、雨樋金具の中でもグレードは高めです。

しかし、高い耐久性でメンテナンスの頻度も抑えられるため、長期的なコストパフォーマンスはよいでしょう。

 

銅は、優れた耐久性と抗菌作用を持つ金属です。

表面にできる保護皮膜は腐食の進行を防ぐ効果があり、長い年月をかけて製品を保護する役割を果たしてくれます。
そのため、古くから建物や雨樋などにも多く使われてきました。

経年劣化で酸化してくると、表面に緑青(ろくしょう)と呼ばれるサビが発生します。
緑青は見た目が美しく、好む方も多いです。

また、銅は柔らかくて傷がつきやすく、変色しやすい欠点があります。
素材価格もステンレスの倍以上となります。

酸に弱く、酸性雨の影響を受け続けると穴が開くこともあるので注意が必要です。

 

樹脂(プラスチック)

樹脂(プラスチック)は、軽量で加工しやすく、素材価格も安価です。
日用品や医療分野の製品など多くの原材料となっています。

電気を通さなかったり、水に強く腐食しにくかったりする特徴があります。
デメリットは、ほかの素材に比べて熱に弱い点です。

雨樋では、軽量で安価な塩化ビニール樹脂や、紫外線による劣化を抑える加工が施された合成樹脂などが使用されています。

 

雨樋金具の種類を決める基準


雨樋金具の種類を選ぶ際は、以下のポイントを参考にしてみてください。

・雨樋の形状で決める
・下地の種類で決める
・雨樋の素材で決める

適切な種類の金具を使うことで、長持ちしやすくなったり、見栄えがよくなったりします。

 

雨樋の形状で決める

もっとも一般的な判断基準は、雨樋の形状で決めることです。
縦樋の場合、形状は「丸形」と「角型」があります。
横樋の場合は「半円型」や「角型」、「特殊型」の3種類です。

雨樋を別の形状に変えても、金具のタイプを変える必要はありません。
ただし、形状を変えて使用する際は、樋を固定する部分の形を合わせましょう。
固定部にマッチする金具で使用しないと外れやすくなってしまうため、専門家にどの製品が最適か確認してみてください。

主に雪国で使われている特殊型は形状が通常と異なり、使う金具を制限されるデメリットがあります。
選択肢は減るものの、降雪が多い地域では特殊型にあわせた金具を選択するのが賢明です。
なるべく地域に適したタイプを使用し、それに合った方法で固定するのが望ましいでしょう。

下地の種類で決める

金具を取り付ける下地に合わせて、種類を決めることも大切です。
軒樋は鼻隠しと呼ばれる箇所に取り付けて、縦樋は外壁に固定します。
下地に合うタイプを取り付けると、衝撃を最小限に抑えられるため、高い耐久性が期待できます。

鼻隠しは、木材やモルタルを使用しているケースが多い箇所です。
木材の場合は、金具の取り付けをしやすいメリットがあります。
モルタルは抜き取る際に手間がかかる反面、外れにくく安全性が高いです。

注意すべきは、下地がむき出しになっているケースです。
下地がむき出しになっている場合、正面から打ち込みやビス固定ができません。
横打ちタイプの金具で側面から固定する必要があるため、念頭に置いておきましょう。

 

雨樋の素材で決める

耐久性を兼ね備えつつ見た目を統一するなら、雨樋の素材に合わせて金具を決めましょう。
樋自体にも種類があり、一般的に金具も同じものを使用します。

同じ素材の金具で固定するメリットは、経年劣化の進行も統一できることです。
修理が必要になる時期が同じであれば、雨樋の修理も一度で済みます。

例外として、硬質塩化ビニールの雨樋には、金属系の金具を使うことが多いです。
見た目の統一ができない反面、金属でしっかり支えてくれる安心感があります。

「銅」や「ステンレス」の雨樋には、基本的に同じ素材の金具を使用します。
素材の性質を知った上で、金具の種類を選びましょう。

 

雨樋の金具は素材別に特徴がある!住宅に合った種類を選ぼう

正面打ち

雨樋の金具の素材の種類は豊富です。
ステンレスは耐久性に優れていたり、銅や真鍮はカラーが独特だったりと特徴はさまざまです。

それぞれの素材ごとに異なる特徴を把握して、住宅の雨樋に合った種類を選びましょう。

「雨樋の金具の名前や付け方とは?住宅に適した留め具を設置して排水機能を維持!」でも金具の種類を掘り下げているのでチェックしてみてください。

 

内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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