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コラム

雨樋の設計基準とは?役割や使用される材料について詳しく紹介


「雨樋って何のためにあるの?」
「雨樋はどのような基準で設計されているの?」
と思っている人は多いのではないでしょうか?

雨樋(あまどい)は、屋根の上に流れる雨水を集めて地上まで流すための建材のことです。

雨による外壁や地盤の劣化を防ぐために重要なものとなっています。

ただし、適切に設計しないと家の劣化につながるので、気を付けなければなりません。

本記事では、雨樋の設計に関する悩みをお持ちの方に向けて、以下のような内容を解説します。

・雨樋の設計基準
・雨樋の役割
・雨樋に使用される材料
・雨樋の設計を誤った際に起こるトラブル

雨樋の設計基準について知りたい方はぜひ最後までお読みください。

雨樋の設計基準


雨樋には設計基準があります。

基準通りの設計ができていないと、雨水の排水がうまくいかず住宅に負担をかけてしまうことになります。

専門的な知識を使いながら、下記の基準を遵守して設計しなければなりません。

・雨に対する設計の基準
・風に対する設計の基準
・雪に対する設計の基準

以上3つの基準について詳しく解説します。

雨に対する設計の基準

雨樋は屋根に降った雨水を排水できる量によって大きさや太さを決定します。

角樋や丸樋といった樋の形状によって排水量も変わりますので、考慮に入れないといけません。

建物が広いほど屋根も広くなるので、雨水の排水必要量も増えます。

排水必要量が多い場合は雨水の落とし口を増やしたり、雨樋の形状や大きさを変えたりするなどの対策を講じます。

お住まいのエリアの雨量も考慮して設計しなければなりません。

地域別の最新の地域別最大降雨量については気象庁のホームページや各自治体のホームページなどで確認してみてください。

風に対する設計の基準

雨樋の設計時は風に対する設計基準も守らなければなりません。

雨樋は施工時にしっかりと固定するものの、軽量なため強風が吹くと固定金具が外れて飛ばされてしまう可能性があります。

雨樋の固定には風速の基準を考慮して金具のピッチを変えないといけません。

風の強い地域ほど、ピッチを狭くして金具の数を増やす必要があります。

建物の高さも風速に影響を与えます。

一般的に高い位置ほど風が強く吹くので、建物の高さによって基準を厳しくしなければなりません。

風速基準は建築基準法施行令第87条によって決められていますので、お住まいの地域の基準を確認してみましょう。

雪に対する設計基準

雨樋の設計基準は雪に対する考慮も必要です。

屋根の上に積もった雪が雨樋に落ちてしまうと固定金具が外れたり、破損したりするリスクがあるからです。

雪に関してはエリア差が大きく、積雪量を考慮しての設計が必要になります。

雨水は雨樋に落ちるようにしながらも、積雪は雨樋に落ちないように考慮しないといけません。

積雪量に関しては建築基準法施行令第86条にてエリアごとに定められていますので、お住まいの地域の基準を確認してみましょう。

雨樋の役割


雨樋には屋根から流れる雨水を集めて、適切な排水経路へと誘導する役割があります。

雨樋によって雨水が適切に排水されるため、外壁や基礎に水がかかるのを防ぐことが可能です。

雨樋が機能しないと外壁が雨水にさらされ、コケや汚れが付着してしまいます。

雨水が外壁に伝わると住宅の内部に浸透してしまい、内部の断熱材や構造材に影響するリスクもあります。

雨樋によって住宅の外部や内部だけでなく、屋根から落ちる雨水が地盤に与える影響も抑えることが可能です。

屋根から同じ場所に雨水が落ち続けると、水たまりができてしまい地盤がゆるくなってしまいます。

住宅の内部や地盤が雨水によって劣化しないためにも、雨樋が必要です。

雨樋の設計基準を守るために使用される材料

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雨樋を設計するにあたって、どの強度の素材を使用するかも重要です。

雨樋に使用される材料として、主に以下の4つがあります。

・塩化ビニル
・ガルバリウム鋼板
・ステンレス
・銅

それぞれの材料の特徴を把握できる内容になっていますので、ぜひお読みください。

塩化ビニル

塩化ビニルは雨樋によく使われる素材です。

軽量でカットしやすく施工が容易で、ホームセンターにも販売されていることから手軽に購入できます。

コストを抑えやすく、多くの住宅に採用されている雨樋となっています。

金属とは異なり、サビが発生しない点がメリットの一つです。

デメリットとして太陽光の熱や紫外線などで劣化しやすい点が挙げられます。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板はサビに強く、耐久性や強度が高い素材です。

外装材や屋根に使用される素材で、意匠性のある外観に仕上げられます。

塩化ビニル製の雨樋より高価であることがデメリットです。

ステンレス

ステンレスはキッチンのシンクに使用される金属で、サビや汚れに強い特徴があります。

強度に優れており、雨樋に使ったとしても長期間の使用が可能になります。

金属製の雨樋の中では比較的安価なので取り入れやすいのもメリットです。

銅は10円玉にも使われている身近な金属です。

耐久性が高く、神社や仏閣などに使用されており高級感のある仕上がりにできます。

他の材料より高価な点がデメリットです。

劣化してしまうと青緑色に変色していき、外壁に付着する場合もあります。

ただし、青緑色でも味わいのある外観になるのが特徴的です。

青緑色になる現象は「緑青(ろくしょう)」とも呼ばれ、内部が酸化するスピードを遅くする働きがあります。

雨樋の設計基準を誤った際に起こるトラブル

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設計を誤ってしまうと、雨樋は本来の機能を発揮できず、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

・外壁が劣化する
・水たまりができる

それぞれどのようなトラブルになるのか見ていきましょう。

外壁が劣化する

雨樋の設計を誤ると、屋根をつたって落ちる雨水が外壁にかかってしまいます。

大量の雨水が外壁にかかると外壁にダメージを与えてしまい劣化が進みやすくなります。

カビやコケなどが生えてしまい、見栄えも悪いです。

外壁から住宅内に浸透してしまい、構造材や断熱材も劣化するかもしれません。

外壁には住宅の内部を守る効果もありますが、雨樋の設計を誤ることで効果が軽減するおそれがあります。

水たまりができる

雨樋の設計を誤って雨水が十分に排水されないと、屋根を伝って落ちてくる雨水によって庭に水たまりができてしまいます。

水たまりの水が跳ねることで周囲にあるモノや建物の基礎に水がかかってしまい、劣化したり建物に負荷がかかったりするおそれがあります。

隣家との距離が近いと迷惑をかけてしまうことがあるので、注意が必要です。

雨樋は定期的なメンテナンスが必要


雨樋は住宅の外部にあるため、汚れが付着したり経年劣化したりするおそれがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。

メンテナンスをしないと雨樋にごみや落ち葉が溜まってしまい、詰まって排水の機能を果たさなくなってしまいます。

とくに軒先に取り付ける軒樋(のきどい)が詰まると水が溢れてしまい、外壁に流れ落ちてしまうので定期的に清掃をしましょう。

経年劣化によって接続部の固定が外れたり、変形したりすることもあるので、必要に応じて雨樋の交換や塗装を検討してみてください。

雨樋の設計基準に関することは専門家に相談しよう


雨樋の設計には専門的な知識が必要です。

設計を誤ってしまうと外壁を劣化させてしまい住宅内部にも被害が及んでしまうため、慎重に設計しないといけません。

施工については施工実績や口コミなどから信頼できる専門業者を探し出しましょう。

専門業者にお住まいのエリアに適した雨樋を取り付けてもらい、長期間安心して過ごせる家を作りましょう。

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内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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