雨樋から水漏れを発見したけれど、対処法がわからず焦ってしまう人もいるのではないでしょうか。
雨樋の水漏れは、破損やゆがみによって生じる可能性があります。
水漏れを繰り返さないためにも、原因と対策を知っておくことが大切です。
本記事では雨樋から水漏れする理由と補修方法について解説しています。
水漏れを放置すると被害が広がる場合があるため、適切に対処しましょう。
雨樋から水漏れする原因はいくつかあります。
・雨樋の詰まり
・雨樋の破損
・雨樋のゆがみ
砂や土、雪などの自然現象が原因の場合もあれば、経年劣化で生じる可能性もあります。
雨樋が詰まっていると、雨水が上手く排水できずにあふれてしまいます。
詰まりは砂や土、落ち葉などゴミの堆積が原因です。
ゴミが少量であれば雨が降ると洗い流してくれるため、すぐに詰まりは発生しません。
しかし、秋から冬にかけては季節柄よく落ち葉が飛んできます。
放置しておくと知らない間に落ち葉が詰まり、水漏れにつながる可能性があります。
雨樋が破損すると、雨水を受け止められず漏れてしまいます。
雨樋は常に紫外線や風雨にさらされているため、経年劣化がはやいです。
そのため、ひび割れや雨樋の外れといった不具合がどうしても発生しやすいです。
強風により何かが飛んできた衝撃で破損する場合もあります。
さまざまな原因により雨樋が破損することで、正常に排水できず雨水があふれてしまいます。
雨樋のゆがみや開きといった不具合が発生すると水漏れが発生しやすくなります。
勾配不良は、経年劣化や積雪などの衝撃で雨樋を固定している金具が破損することで発生します。
勾配不良になると排水機能の低下を引き起こし、雨水があふれてしまうのです。
雨樋の水漏れは、勾配不良が原因で発生する場合もあります。
ぱっと見ただけでは分かりにくいですが、雨樋には雨水を円滑に排水するため、程よく勾配がつけられています。
ゴミや土などの重みで雨樋がゆがんでしまうと、勾配を維持できずに水漏れの原因となるため、定期的な掃除が必要です。
雨樋のつなぎ目に使用されている接着剤の劣化が原因で、水漏れが発生することもあります。
つなぎ目の劣化は、コーキングで補修すると一時的に水漏れの解消ができます。
しかし、コーキングで補修しただけでは数ヶ月後に再び不具合が発生する可能性があるため、建築板金業者に修理を依頼するのが無難です。
実際に雨樋の水漏れを見つけたら、どう対処したら良いのかわからない人もいるでしょう。
焦ることのないように、自分でできる対処法を紹介します。
・詰まっているゴミを取り除く
・板金業者へ相談する
雨樋の場所によっては高所作業となる可能性もあります。
事故や転落を防ぐためにも、無理はせずに業者への相談がおすすめです。
落ち葉や砂、ほこりなどが集水器にのっていることで起きた詰まりなら、自分でもすぐに解消できます。
集水器は雨樋を伝ってきた雨水を集める場所のことです。
トングやブラシなどを使ってゴミを取り除いてください。
集水器のゴミを除去しても詰まりが解消されない場合は、高圧洗浄機による水圧で押し流すこともできます。
ただし高圧洗浄機を利用する場合は、雨樋が破損しないよう注意が必要です。
ゴミを除去しても水漏れが解消されない、または自分では対処できないほど不具合がひどいときは、すぐに板金業者へ連絡しましょう。
無理に自分で対応すると、雨樋に衝撃を与えたり傷つけたりする恐れがあるからです。
板金業者なら原因を突き止め、適切に対処してもらえます。
今ではホームセンターで水漏れテープや修理テープといった、簡単に補修できるアイテムが豊富にそろっています。
しかし、自分で修理しようとしても破損が大きいと結局修理代が必要になるため、DIY費用が無駄になるかもしれません。
安全面や出費のことを考えても、板金業者への相談がおすすめです。
雨樋の水漏れはどのように補修するのか、補修方法を費用とあわせて解説します。
・雨樋の部分補修
・雨樋全体の修理
劣化や破損の状態によって補修方法が変わるので、ぜひ参考にしてください。
部分的な補修は、交換する部品や個数によって変わります。
軒樋や集水器、呼び樋などを含めた雨樋の部分修理なら足場なしで約2〜5万円です。
劣化が激しく、部分補修ができない場合は雨樋自体を交換する必要があります。
部分補修より高額ですが、水漏れの再発リスクやメンテナンスコストを軽減できます。
費用目安は足場なしだと約2〜30万円です。
雨樋はあまり目につかない部材の一つですが、住宅にとって重要な役割があります。
雨樋の役割は、住宅に降った雨を1か所に集めて適切に排水することです。
雨樋に不具合があると住宅の劣化にもつながるため、不具合を発見した場合はできるだけ早いうちに修理が必要です。
雨樋の不具合を放置すると起こりうる被害は、次の見出しで詳しく紹介します。
雨樋の水漏れを放置しておくと、思わぬ被害を引き起こす恐れがあります。
・雨漏りの発生原因になる可能性がある
・地盤が弱くなる可能性がある
・外壁が劣化しやすくなる可能性がある
・近隣トラブルに発展する可能性がある
・騒音が発生しやすくなる
・蚊が発生しやすくなる
この程度の水漏れなら大丈夫だろうと安易に考えていては、上記のような被害をもたらす可能性があります。
雨樋の水漏れが引き起こす恐れがある被害について、詳しく見てみましょう。
雨樋の水漏れは、思わぬ雨漏りを引き起こす恐れがあります。
雨樋から水漏れしているということは、上手く排水できずにあふれ出ている状態です。
あふれ出た雨水は屋根や外壁に当たると劣化しやすくなってしまい、雨漏りにつながる可能性があります。
雨漏りは屋根や天井を腐らせる可能性があり、放置すると住宅の寿命が縮んでしまうことにもなりかねません。
手遅れになってから修理すると費用も高額になるため早めの対処が必要です。
雨樋から水があふれ出ると、家の土台となる地盤が劣化する恐れがあります。
雨水が上手く排水できず、住宅周りの地面に雨水が直接落ちることが原因です。
落ちた雨水が溝をつくったり、大雨のときには地面に叩きつけられたりするため、徐々に地盤がゆるんでいく恐れがあります。
雨水が上手く排水できないと、外壁まで被害が及ぶ場合があります。
雨が降るたびに雨樋から水漏れした雨水が外壁に当たれば、劣化や腐食が進むからです。
もし外壁にひびや剥がれがあったら、雨水は簡単に浸入してしまいます。
長く安心して暮らすためにも、雨樋の水漏れは放置せず適切に対処しましょう。
雨樋からの水漏れを放置すると、近隣トラブルに発展する可能性があります。
地面からはね返った雨水は、家の周囲や外壁を汚すだけではなく、隣家の庭先や通行人の足元を汚してしまう恐れがあります。
適切に雨水を排出できないと地面に落ちる雨音も大きくなるため、騒音により近隣渋面へ迷惑をかける可能性も高いです。
雨樋の詰まりや破損で水漏れが発生すると、騒音発生のリスクが高まります。
屋根から地面に打ち付けられた雨は、適切に雨樋を通して排水された場合と比較して雨音がうるさいです。
他にも、不具合の状態によっては、雨樋から異音が発生する場合もあります。
そのため、雨が降っているときに雨音がいつもより大きく聞こえたり雨樋からいつもと違う音がしたりする場合は、不具合を疑うとよいでしょう。
雨樋は不具合が起こると、蚊の発生源となる場合があります。
蚊は、水たまりなど水がある場所で繁殖するため、水場を好む性質があります。
雨樋が詰まり、雨水が常にたまった状態になると、蚊が繁殖する可能性が高いです。
雨樋で蚊が繁殖すると、洗濯物を干したり庭の手入れをしたり作業をする際に、蚊に刺される恐れもあります。
雨樋からの水漏れを引き起こさないための予防法を紹介します。
・定期的に掃除する
・落ち葉防止ネットを検討する
・塗装工事のタイミングで雨樋工事する
・雨樋の寿命を把握する
自分でできることもあるため、日ごろからしっかり予防して水漏れを防ぎましょう。
こまめに雨樋を掃除して、ゴミを溜めないようにしておくことが大切です。
雨樋は砂や落ち葉などが溜まりやすく、放っておくと詰まりの原因になります。
目視できる部分だけでもゴミを取り除いておくのがおすすめです。
ただし、2階での高所作業や屋根に登る作業は落下してしまう危険性を伴うため、十分注意しましょう。
雨樋の詰まり防止に、落ち葉防止ネットが使われるケースがあります。
雨樋にネットをつけることで、さまざまな飛来物が入り込むのを防いでくれる仕組みです。
木々がたくさんある環境下に住んでいる人は、落ち葉予防の手段として覚えておくと良いでしょう。
外壁や屋根の塗装を検討しているなら、(雨樋に気になる部分があれば)同時に雨樋工事も依頼するのもおすすめです。
同じタイミングで施工すると足場の設置が1回で済み、節約になるからです。
足場の設置は外壁と屋根塗装はもちろん、雨樋塗装にも必要になる場合があるため、別々で行うとそのたびに足場代がかかります。
外壁や屋根の修理や塗装をお考えの方であれば、同時に雨樋修理も考えてみてはいかがでしょうか。
雨樋の水漏れを防ぐには、雨樋の寿命を把握することも大切です。
一般住宅で使用されている雨樋は塩化ビニル製のものが多く、耐用年数は15~25年程です。
住宅の立地や環境によっては、耐用年数よりも寿命が短い場合があります。
不具合を早期発見するには5~10年ほどの周期で点検を行うとよいでしょう。
雨樋の水漏れを発見した場合は、早急に専門業者へ依頼するのが適切です。
しかし都合によりすぐに依頼できない場合は、応急処置で不具合を悪化させないようにする必要があります。
水漏れの多くはつなぎ目から発生しているケースが多いです。
つなぎ目からの水漏れは、コーキングを使用すると数ヶ月間は水漏れの症状を止められます。
コーキングによる応急処置方法は以下の通りです。
・修理箇所を掃除
・養生
・プライマー(下塗り材)の塗布
・コーキング材を充填
・コーキング材を形成
・乾燥(1~2日ほど)
応急処置でコーキングを使用する場合は、修理箇所を掃除してから実施します。
コーキング材は乾くと縮むため、多めに充填するのがポイントです。
ただしコーキング材で雨水の流れを止めてしまわないよう注意してください。
また修理箇所が手の届かない場所のときは、無理せずに修理を依頼するのが適しています。
コーキングによる修理はあくまでも応急処置でしかありません。
雨樋に不具合が発生した場合は、できるだけ早く建築板金業者へ修理を依頼しましょう。
雨樋の水漏れ修理のDIYは基本的におすすめできません。
雨樋の水漏れは、原因を特定したうえで適切な修理を実施しないと、不具合が再発する可能性があります。
修理箇所によっては、高所での作業となり転落によるケガのリスクもあるため危険です。
不具合が発生した場合や気になる点がある場合は、雨樋修理の専門業者である建築板金業者に相談するのが適しています。
雨樋修理を依頼する前に、知っておいた方がよい注意点を紹介します。
知っておいた方がよい点は、以下の4つです。
・部分交換ができない場合もある
・全体交換をする場合は外壁塗装なども検討しよう
・自然災害による破損は火災保険が使える場合もある
・業者選びは慎重に行う
大切な住宅を守るための雨樋修理は、後悔のないように実施しましょう。
雨樋は一部分だけの不具合でも、部分交換ができない場合があります。
部分交換ができない理由は、主に以下の2つです。
・必要な部材が入手できない
・経年劣化による不具合
不具合が発生した雨樋が廃盤などで入手できない場合は、部分交換ができず全体交換となることがあります。
経年劣化などによって全体的に不具合が発生している場合は、部分修理ではなく全体交換が推奨されることが多いです。
雨樋修理で全体交換となった場合は、屋根や外壁の塗装も同時に行うのがおすすめです。
雨樋の全体交換は、足場を設置する大掛かりな工事となります。
足場の設置費用は、10~30万円と高額です。
外壁塗装など足場の設置が必要なリフォームを行う予定が近々ある場合は、同時に実施すると費用の節約ができます。
台風や雹など自然災害により雨樋の不具合が発生した場合は、火災保険が利用できる場合もあります。
保険が利用できるかは、加入している保険の契約内容によって異なるため、保険会社に確認するのが適切です。
しかし近年、「火災保険を活用してタダで修理できるよ」と勧誘しトラブルに発展しているケースもあるため、業者から火災保険の利用を勧めてくる場合は注意が必要です。
保険が利用できるかは、修理業者が判断できるものではありません。
まずは保険会社へ確認するとよいでしょう。
雨樋修理は資格がなくてもできるため、一部ではいわゆる「悪徳業者」も存在します。
悪徳業者に修理を依頼すると、費用の高額請求や施工不良などトラブルに発展する恐れもあります。
雨樋工事に対応しているのは、主に建築板金業者です。
修理を実施する際は、実績が豊富な建築板金業者へ依頼しましょう。
詳細な業者選びのポイントは、次の見出しで紹介します。
業者選びで悩んだ際に役立つ、業者選びのポイントについて紹介します。
修理を依頼する業者は、以下の5つの基準をもとに選ぶのがおすすめです。
・建設業許可を取得している
・リフォームパートナー協議会(RECACO)に加盟している
・地域で長く営業をしている
・自社職人がいる
・国家資格を取得している
これらの基準をもとに業者を選ぶと、優良業者と巡り合える可能性が高まります。
雨樋の修理は、建築業許可や国家資格がなくても請け負うことが可能です。
しかし建築業許可を取得し資格を有している職人に修理してもらう方が、信頼感は高く安心できます。
雨樋修理の場合は、建築板金技能士や建築士などの国家資格を有する職人さんが理想的です。
ちなみに雨樋専門リフォームパートナーには、建築板金技能士と施工管理技士を取得した職人が在籍しています。
この他にも、リフォームパートナー協議会(RECACO)に加盟している業者であれば、さらに信頼感が高いです。
リフォームパートナー協議会(RECACO)では、リフォーム技術向上やお客様への分かりやすい見積もりの書き方セミナーなど、定期的にセミナーや講習会を開催しています。
未加盟の業者よりも、技術面や接客面で安心できるリフォームのご相談が可能です。
地域で長く営業し自社職人がいる場合は、その地域の気候を理解しているため、適切で要望に合った修理を実施してくれます。
雨樋の水漏れに関して、よくある質問をご紹介します。
・新築でも雨樋から水漏れは発生するのか
・雨樋のつなぎ目は自分でコーキング補修できるのか
不安なところはあらかじめ解消しておくことで、水漏れが生じても落ち着いて対処しやすくなります。
さっそく1つずつ見てみましょう。
新築であったとしても、台風や大雨などの自然災害が起きたときには、水漏れが発生する可能性があります。
強風で何かが飛んできた影響により、雨樋が損傷する可能性があるからです。
しかし、心当たりがなく水漏れするようであれば施工不良が考えられます。
手抜き工事だった場合は雑なコーキング処理で、隙間ができているのかもしれません。
自然災害以外で新築に雨漏りが発生した場合は施工不良が原因であることが考えられます。
業者まで早めに連絡して修理を依頼するのがおすすめです。
ホームセンターでコーキング補修の材料はそろいますが、自分で補修するのはおすすめできません。
コーキング材は気候の変化に弱く、再び破損する可能性があるので交換修理が必要です。
また、高所での作業は危険をともない上手く補修できない恐れがあります。
応急処置だけでも自分でしたいと考える人がいるかもしれませんが、水漏れを見つけたらすぐに板金業者へ連絡しましょう。
雨樋から水漏れが生じる原因は、ゴミの詰まりや雨樋の破損などさまざまです。
定期的に掃除したり、外壁や屋根を塗装するタイミングで雨樋工事を行ったりして、適切に予防する必要があります。
また、突然の水漏れに慌てて応急処置するのは危険です。
作業場所が2階以上だと転落の恐れがあるだけではなく、自分で補修すると施工不良を招く可能性があります。
水漏れが起きたときにはもちろん、何か気になることがあれば板金業者へ連絡しましょう。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。