縦樋の修理や交換をする際、外し方がわからず、お困りの方も多いことでしょう。
縦樋とは、雨水を排水するために、垂直方向に設置された樋です。
縦樋は正しく取り外さなければ、固定されている壁や樋本体が破損してしまう場合があります。
今回の記事では、縦樋の外し方について以下の2つの情報を中心に解説していきます。
・縦樋の正しい外し方手順
・縦樋を外す際に気をつけるべきポイント
縦樋を安全に正しく取り外すために、ぜひ参考にしてください。
縦樋の正しい外し方には、大きく3つのステップがあります。
・金具(留め具)の爪を外す
・縦樋を外す
・金具を外す
それぞれのステップを詳しく解説していきましょう。
まずは、金具の爪を外します。
金具の爪とは、縦樋を固定する際にロックをかける部分のことです。
年月が経過していると爪が固まっている場合があるため、ドライバーやペンチなどを使って外しましょう。
金具の爪を外したら、縦樋を取り外していきます。
縦樋と金具の隙間に汚れが溜まっていると、取り外しにくくなっていることがあります。
無理やり外すと縦樋が破損してしまうため、樋を再利用する場合は壊さないように丁寧に扱いましょう。
最後に、外壁に残った金具を取り外します。
金具は打ち込みと、ビスで固定するタイプの2種類あります。
打ち込みタイプはバールを使って取り外しますが、金具を抜く際、壁が破損する恐れがあるため、慎重に作業しなければなりません。
また、ビスで固定されている金具は、ドライバーを使って取り外します。
つかみ金具とは、縦樋を支えるために壁に施工されている留め具のことで、以下の2つの種類があります。
・打ち込み
・トンボ
以下にて、縦樋のつかみ金具の特徴をそれぞれ詳しく解説していきます。
打ち込みタイプは先が尖っており、壁に打ち込んで施工するタイプです。
取り付ける際は、外壁や柱に30mm以上深く打ち込む必要があります。
そのため、下地がしっかりとしている箇所でなければ施工できません。
また、打ち込みタイプを壁から引き抜く際に無理に力を入れると、周囲の外壁を壊してしまう場合があります。
作業する際は、慎重に行いましょう。
トンボは、外壁に固定する金具部分がT字の形状をしている留め具です。
T字部分にビスを打ち込んで外壁に固定します。
打ち込みタイプに比べると外壁に取り付けやすく、外しやすいのがメリットです。
打ち込みタイプを設置できない場所にも取り付けられるので、使える範囲が広い点もメリットの1つといえます。
縦樋を外す際に気をつけるポイントとして、以下の3つが挙げられます。
・金具と縦樋は上から外す
・金具を外した箇所はコーキングする
・高所作業に注意する
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
金具と縦樋を外す際は、上から順に外していきましょう。
下から外すと、上部の縦樋が落下してきて危険なためです。
また、縦樋が地中の排水管とつながっている場合も、取り外しやすくするために上から外していくのが一般的です。
金具を外した箇所は、コーキングをして穴を塞ぎます。
コーキングとは、コーキング剤で外壁の隙間を埋める作業です。
金具を外した箇所は穴があくため、雨水が浸透してしまい、雨漏りや外壁の劣化につながります。
また、外壁の内部へ雨水が浸透してしまうと、場合によっては柱が腐敗して大掛かりな補修工事が必要となります。
外壁の内部まで劣化させないためにも、必ず金具が取り付けられていた穴にはコーキングをしましょう。
縦樋を外す際は、高所での作業となるため転落事故に気をつける必要があります。
2階建て住宅の高さは、6〜7メートルが平均的です。
そのため、縦樋の上部はかなりの高さになります。
脚立のみで作業するとなると、足元が悪い中での作業になるので、転落事故に注意が必要です。
高所作業に慣れていない場合は大変危険なため、不安な場合は屋根業者へ相談しましょう。
既存の縦樋を外した後は、以下の手順で新しい部材を取り付けてください。
・金具跡の穴をコーキングでふさぐ
・新しいつかみ金具を取り付ける
・新しい縦樋を設置する
・金具の爪をはめる
主に、上記の4つの工程で行います。
を取り外したあとの穴は、コーキング材でふさいで雨水の浸入を防ぎます。
最後に、縦樋をしっかりと固定するために金具のつめをはめ忘れないように注意しておきましょう。
外した縦樋を取り付ける際に失敗をしないためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
・金具の固定角度に注意する
・外壁の塗装剥がれは補修する
・縦継手の向きに注意する
それぞれの詳しい内容を、以下で紹介します。
これから縦樋の交換を予定している方は、ぜひ参考にしてみてください。
縦樋を取り付ける際は、金具が先上がりにならないように気をつけましょう。
先上がりとは、縦樋金具が壁に向かって下向きに傾いている状態です。
先上がりになっていると、雨水が金具を伝って壁の内側に入り込みやすくなり、雨漏りの原因になります。
軒樋金具を取り付ける際は、必ず先下がりになるように設置しましょう。
縦樋の金具を設置した箇所の塗装が剥がれていた場合は、補修をしておきましょう。
縦樋金具を設置した際、外壁の塗装が剝がれてしまうことがあります。
外壁塗装は建物を雨や紫外線から守ってくれます。
そのため、一部でも剝がれてしまえば、外壁の劣化原因となるでしょう。
塗装の剥がれた部分が少しであっても放置せずに、建物の寿命を維持するためにも必ず塗り直して補修するようにしましょう。
縦樋を取り付ける際は、縦継手の向きに注意して施工しましょう。
縦継手とは、縦樋同士をつなぐための部材です。
縦樋の長さを調節したり、向きを変えたりする際に使用します。
縦継手には正しい向きがあるため、間違えないように設置してください。
口が広くなっている側が、上向きとなります。
向きを間違えると、排水機能が低下してしまいます。
さらに、縦樋同士がしっかりとつながらないので、縦継手の部分から雨水が漏れてしまうこともあるでしょう。
また、縦継手は雨樋専用の接着剤を使って固定するようにしましょう。
縦樋の交換にかかる費用相場は、足場を設置した場合10~60万円になります。
ただし、雨樋の素材や長さ、施工箇所などによって費用は変わってきます。
足場の設置をしない場合は、2~30万円ほどが相場です。
しかし、雨樋は高所にある場合が多いため、足場の設置が必要なケースもあります。
足場の設置には、およそ10~30万円かかるのが一般的です。
足場の設置費用は、一見すると高いと思われるかもしれません。
しかし、雨樋の交換を安全に確実に行うためには、足場が欠かせません。
費用を抑えるために、DIYで雨樋を交換しようとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
施工箇所によっては、DIYでも交換は可能です。
しかし、DIYで縦樋を交換した結果、雨漏りが発生したり、外壁が劣化したりする場合があります。
DIYでの施工に失敗したら、補修にさらに費用がかかります。
そのため、技術力に不安をお持ちの方は、業者に依頼したほうが安心です。
また、工事にかかる正確な金額は、業者に見積もりを出してもらい確認しましょう。
縦樋は正しく安全に取り外さなければ、樋や外壁の破損の原因になります。
住宅へ大きな影響が及ぶと、大規模な補修工事が必要となり、莫大な費用がかかる恐れもあります。
また転落事故の恐れもあるため、DIYで縦樋を外すのはおすすめしません。
安全に取り外すためにも、建築板金業者へ相談することを検討しましょう。
「雨樋の付け方と外し方とは?交換修理する方法や必要な材料と道具も確認しよう」では縦樋以外の付け方や外し方もご紹介しています。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。