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コラム

軒樋のサイズの選び方とは?屋根に合った雨樋を選んで雨漏りを防ごう

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「雨樋を設置する際、サイズはどう選べばいいのだろう」
「住宅に合う軒樋や縦樋のサイズが知りたい」

軒樋は形状やカラーだけでなく、サイズもさまざまです。
軒樋は屋根に降る雨を排水させるための重要な箇所なので、サイズ選びは間違えたくないところです。

この記事では、軒樋や縦樋のサイズ選びの方法を詳しく解説していきます。
軒樋や縦樋について、より知識を深めたいという方はぜひチェックしてみてください。

 

軒樋と縦樋のサイズの選び方

アルミ雨樋

軒樋と縦樋のサイズの選び方を以下で詳しく解説していきます。

屋根に降ってくる雨の排水機能を高めるためには、軒樋と縦樋のサイズ選びは重要なポイントとなります。
雨樋の破損を防ぐだけでなく、住宅を雨漏りから守るためにも、軒樋と縦樋のサイズの選び方はぜひチェックしておきましょう。

 

軒樋のサイズの選び方

軒樋のサイズは、屋根の投影面積への降水量と、雨樋の排水量から選びます。
投影面積とは、住宅を上から見たときに、屋根を地面に投影して現れる面積のことです。
屋根の降水量を求める際の投影面積は、1本の縦樋が受け持つ範囲で算出します。

投影面積は、1本の縦樋が受け持つ屋根の奥行×軒樋の長さで算出できます。
軒樋と縦樋の排水量が、屋根の投影面積への降水量よりも多ければベストなサイズといえるでしょう。
軒樋と縦樋の排水量は、サイズや設置する際の勾配によって増減します。

そして、屋根への降水量とは、1秒間の降雨強度に投影面積をかけることで算出できます。
降水量の値が、軒樋と縦樋の排水量よりも低ければ、雨水がうまく流れて雨樋の排水機能を高く維持できるのです。

降雨強度とは、気象庁が発表している「瞬間的に強く降った雨の1時間当たりの降雨量」のことで、地域によって異なります。
降雨強度の単位はミリメートル毎時です。

例えば、160ミリメートル毎時での1秒間の降雨強度は、0.000044メートル毎時です。
屋根の投影面積の単位が平方メートルなので、降雨強度もメートル換算に変更します。

屋根への降水量をきちんと算出しなければ、軒樋のサイズ選びを失敗してしまうので、注意しておきましょう。
また、軒樋のサイズとは半丸型の場合は内径を、角型は排水断面積や樋の高さをチェックしてください。

 

縦樋のサイズの選び方

縦樋のサイズは、屋根の投影面積への降水量と、軒樋のサイズに合わせて選びます。
縦樋のサイズとは、排水有効断面積という縦樋を真横に切ったときの断面の大きさのことを指します。

縦樋のサイズが合っていないと、軒樋に雨水が溢れかえり、雨漏りや雨樋の破損の原因となるでしょう。
軒樋だけでなく、縦樋のサイズ選びも重要です。

 

軒樋と縦樋の排水量の計算方法

軒樋と縦樋の排水量の計算方法を紹介します。
軒樋の排水量は、K(安全係数の1.5)分の1に排水有効断面積と排水速度をかけて算出します。
安全係数とは、軒樋にゴミが溜まり、排水量が減少することを仮定して定められた数値です。

また、縦樋の排水量は、流水係数と落とし口の流速、流水断面積をかけて算出します。
縦樋の流水係数とは、雨水に気泡や渦が発生することで水の流れが悪くなることを仮定して定められた数値です。
それぞれの排水量を計算する際は、単位を揃えることを覚えておきましょう。

 

雨樋のサイズ選びを失敗した際に起きやすいトラブル

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雨樋のサイズが適切でない場合、次に示すようなトラブルが発生する可能性があります。

・雨樋の排水機能が低下する
・雨樋が破損しやすくなる
・美観が損なわれる

施工する雨樋のサイズは、大きすぎても小さすぎてもいけません。
雨樋のサイズ選びを間違った場合に起こりうるトラブルの内容を、詳しく説明しましょう。

 

雨樋の排水機能が低下する

雨樋のサイズが屋根の大きさに対して小さすぎる場合は、排水機能が低下してしまいます。
軒樋が屋根の面積に対して小さすぎる場合は、流れ落ちてくる水を受け止め切れません。
雨水が軒樋から溢れると、外壁にかかったり、地面に一気に打ち付けられたりしてしまいます。

軒樋から雨水が溢れたら、以下のような悪影響が発生する場合があります。

・外壁に雨水がかかって傷む
・軒下に雨水が流れて雨漏りする
・泥はねによって外壁が汚れる
・1階の屋根から騒音が発生する
・溢れた水が通行人にかかる

雨樋の排水機能が低下すると、歩行者が被害を受けたり、溢れ出た雨水によって発生する騒音に悩まされたりするでしょう。
また、縦樋が細すぎる場合も同様に排水機能が低下してしまいます。
雨水は軒樋から縦樋に流れます。

しかし、縦樋が細すぎる場合には軒樋の雨水を全て流し切ることができません。
そのため、軒樋から雨水が溢れて、さまざまなトラブルを起こす可能性があります。

 

雨樋が破損しやすくなる

サイズを間違えると、雨樋の破損リスクが大きくなってしまいます。
雨樋のサイズが小さすぎると、雨が降るたびに屋根から流れる雨水の水圧によって大きな衝撃を受けることになります。

そのような状況が続くと、雨樋が想定以上の負荷を受けて破損しやすくなるのです。

 

美観が損なわれる

雨樋が屋根に対してあまりにも大きすぎる場合は、全体的なバランスが崩れて、美観が損なわれてしまいます。
雨樋は、大きすぎず、小さすぎずの適度なサイズを選ぶようにしましょう。

 

軒樋や縦樋を交換する際のサイズのチェック方法

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既存の軒樋や縦樋が破損して、交換が必要になったときは、本体にメーカーや型番が記載されていないかチェックしましょう。
もしも記載されていない、経年劣化によって消えてしまっている場合は、雨樋の設置時の見積書をチェックしてみてください。

軒樋や縦樋のサイズを間違えると、繋ぎ目が破損したり、排水がうまくいかず雨漏りの原因になったりします。
雨樋を交換する際は、同じサイズで施工するようにしましょう。

 

雨樋のサイズ選びを間違わないための方法

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雨樋のサイズ選びを間違わないための方法を、以下で2つ紹介していきましょう。

・見積書や施工計画書を確認する
・専門業者に問い合わせる

雨樋のサイズを間違って購入してしまうと、返品したり再発注したりと手間がかかります。
また、一度設置してしまった雨樋は返品できない場合もあるため、費用の無駄になってしまうのです。
そのため、以下で紹介する雨樋のサイズの確認方法をぜひチェックしておきましょう。

 

見積書や施工計画書は保存しておく

最も確実な方法は、前回の雨樋工事で業者から渡された見積書や施工計画書などを確認することです。
見積書や施工計画書には既存の軒樋や縦樋のサイズや型番が記されています。
お手元にこれらの書類がある場合は、確認してみてください。

 

専門業者に問い合わせる

前回の雨樋工事の見積書や施工契約書を確認できず、サイズ選びに迷った場合は、専門業者に問い合わせてみましょう。
業者に相談する際は、まずは「施工実績の有無」をチェックしてみてください。

実績の少ない業者や悪徳業者を選ぶと、間違ったサイズの雨樋を選ばれてしまう可能性があります。
また、一般的に雨樋に対して深い知識を持っているのは「建築板金業者」や「瓦業者」です。

問い合わせる際は、業者の実績と専門分野をよく確認してから連絡しましょう。

 

サイズ選びが終わった雨樋の取り付け手順

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適切なサイズの雨樋を選んだら、以下の手順で取り付け工事を行います。

1.足場を組む
2.既存の雨樋と金具を外す
3.新規の雨樋金具を取り付ける
4.新規の軒樋を金具に取り付ける
5.新規の縦樋を取り付ける

雨樋を交換する場合で、脚立やはしごでの作業が難しいときは、足場を設置する必要があります。
足場を設置する最も重要なポイントは、作業者の安全性を守ることです。
足場があることで安全に作業できるだけでなく、作業効率も上がるでしょう。

次に、既存の雨樋と金具を取り外します。
金具を取り外したら、穴に雨水が浸入するのを防ぐためのコーキング注入を行いましょう。

続いて、新規の金具を取り付けていきます。
軒樋部分は、雨水をスムーズに流すために適度な勾配をつける必要があります。
雨水が流れていく集水器側の金具は低く、反対側は高くなるように設定しましょう。

金具の取り付けが終わったら、軒樋を固定していきます。
軒樋を固定する前に、集水器を取り付けるための穴をあけます。
集水器を軒樋に取り付けてから、金具に設置しましょう。
また、軒樋が長い場合はノコギリでカットして、短い場合は軒継手を使って延長させてください。

最後に、縦樋を取り付けていきます。
縦樋は、集水器に接続させたエルボというL字型の部材に取り付けます。
エルボは、縦樋の向きを変えるために使用される部材です。

縦樋が無事に地面に到達したら作業完了です。

さらに詳しい交換手順を知りたい方は、「自分でやる?雨樋を修理する時の7つの工程と交換時の大切なポイント」をチェックしてみてください。

 

屋根の排水機能を高めるには軒樋や縦樋のサイズ選びが重要

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屋根に降る雨をうまく排水させるためには、軒樋や縦樋のサイズ選びは失敗しないようにしなければなりません。
屋根への降水量が、軒樋と縦樋の排水量を上回らなければ、きちんと排水機能が維持できます。
軒樋と縦樋のサイズ選びはもちろん、定期的に雨樋の掃除やメンテナンスも行うようにしましょう。

今回ご紹介したような計算から軒樋のサイズを自分で決めるのは非常に難しいでしょう。
そういった場合は工事をする屋根業者や「雨樋専門リフォームパートナー」にぜひご相談ください。
工事の際に適切なサイズをご提供いたします。

 

他に、雨樋を修理するポイントを知りたい場合は「自分でやる?雨樋を修理する時の7つの工程と交換時の大切なポイント」をチェックしてみてください。

 

内野 友和

この記事は私が書いています。

1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。

20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

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