「雨落ちにはどんな役割があるの?」
「雨落ちの作り方や、雨樋の施工についても把握しておきたい」
雨樋の代わりになる雨対策として、雨落ちを検討する方もいるでしょう。
雨樋がない住宅の、屋根から落ちる雨水を吸収する役割を果たすのが、雨落ちです。
外構の一部になるため、デザイン性を高めるために取り入れる人もいます。
今回は、雨落ちをテーマに以下の6つの情報を解説します。
・雨落ちとは?
・雨落ちのメリットとデメリット
・雨落ちは自分で作れる?
・雨落ちの作り方
・雨樋は自分でつけられる?
・雨が住宅に及ぼす被害とは?
この記事を読んでいただくと、最適な雨対策がわかるでしょう。
雨落ち(あまおち)とは、屋根から落ちた雨がたまる場所のことです。
雨樋や雨落ちがないと、直接地面に水滴が落ちるので、外壁が汚れたり雨音がうるさく感じたりするトラブルが発生します。
それらの被害から守るために、雨落ちは設けられるのです。
雨落ちは、水はけのよいコンクリートや砂利を敷いて雨を吸収し、飛び跳ねを防止する仕組みです。
単に雨を吸収するだけでなく、デザインの一環として取り入れている住宅もあります。
雨落ちは、基本的には「雨樋がない住宅」に作られます。
雨樋を省くと住宅のデザイン性が高まり、すっきりとした見た目になるため、あえて設置しない人もいます。
雨落ちにはどんな効果があるのでしょうか。
・雨落ちのメリット
・雨落ちのデメリット
以下で解説します。
雨落ちを取り入れることで、雨樋にかかる費用が削減できます。
雨樋が設置してある場合、修理や掃除が必要で、施工時にもコストがかかります。
雨樋のメンテナンスは高所作業が伴うため、素人が定期的に行うのは難しいです。
雨落ちなら、減った石や砂利を追加する程度のメンテナンスなので簡単にできます。
また雨落ちのデザインによっては、外構まわりをおしゃれに見せることも可能です。
そのため、外観をこだわりたい人に雨落ちは向いています。
雨樋がないと、雨水によって外壁が汚れやすくなることが主なデメリットです。
雨樋は、汚れた雨水が家屋にかからないように排水してくれる設備です。
雨水を正しく誘導・処理できないと、外壁や家屋全体にダメージを与える可能性があります。
ほかにも、石や砂利に当たる雨音がうるさく聞こえたり、雨落ちが十分に排水できずに水が溜まってしまったりする可能性もあります。
雨落ちを作る際は、デメリットも理解したうえで取り入れるのが望ましいでしょう。
材料と工具を用意できれば、自分で雨落ちを作ることは可能です。
雨樋の設置は高所作業が伴いますが、雨落ちは地上での作業になるので比較的、作業しやすいです。
雨落ちを作る際は、正しい手順と方法を知っておけばスムーズに施工できます。
ただし、専門業者に依頼すれば、より見栄えよくできるのでおすすめです。
以下で雨落ちの作り方をまとめました。
工程を見て難しいと思った人は、最初から業者に任せたほうが無駄な出費が減らせるでしょう。
雨落ちの作り方は、以下のステップを参考にしてみてください。
・雨落ちを設計する
・材料を揃える
・地面に穴を掘る
・排水のためのパイプを設置する
・石や砂利で埋める
それぞれの内容を解説します。
まずは、どのような形の雨落ちを作るか決めましょう。
決める内容は雨落ちが必要な幅や長さなどです。
頭の中でイメージすると整理がしにくいので、紙に簡単な設計図を書いてみるのがおすすめです。
形状が決まれば、材料をリストアップしてメモに残しておきましょう。
雨落ちの形状が決定したら、砂利や石、セメントなど必要に応じて購入しましょう。
これらの材料は、多くの場合ホームセンターで揃います。
ホームセンターによっては軽トラックの貸出も行っているため、気軽に購入しに行けます。
雨水が落ちる箇所に深い穴を掘ります。
適切な位置がわからない場合は、雨が降った後の痕跡を手がかりに印をつけておくといいでしょう。
穴の深さや幅は住宅の形状によって異なるため、専門家からアドバイスをもらうことを推奨します。
堀って穴をあけた箇所に、排水のためのパイプを設置します。
パイプの形状や長さも住宅によるので、最適なサイズを調べてホームセンターや建築資材屋などで探してください。
またパイプを設置する前に防草シートを敷けば完成後、雑草が生えにくくなります。
雑草が生えるとお手入れにも手間がかかるので、穴を掘った段階で防草シートを設置するといいでしょう。
最後に石や砂利を配置すれば完成です。
雨落ちは景観を左右する部位でもあるため、見た目のデザインも考えて好きなイメージで作ってみましょう。
雨落ち用に敷いた石や砂利は次第に減っていくので、定期的に足して見た目の美しさを保つことも大切です。
雨落だけではなく雨樋の設置も自分で行えます。
雨落ちも風情があってよいですが、機能面を考えると雨樋のほうがおすすめです。
以下の手順に沿ってDIYをすると、雨樋が取り付けられるでしょう。
・雨樋の部材を用意する
・工具や材料を用意する
・足場を設置する
・屋根に金具を設置する
・雨樋の部材をつける
雨樋を設置する方法を以下で詳しく紹介します。
雨樋の部材は、ホームセンターやネット通販で手軽に入手できます。
住宅に合う長さと大きさを決めてから購入すると、買い間違えをしないので下準備をしっかり行いましょう。
雨樋にもさまざまな製品があるため、事前に調べておくことをおすすめします。
雨樋をつけるときに必要な工具や材料は以下の通りです。
・脚立やハシゴ
・釘抜き
・電動ドライバー
・ノコギリ
・コーキング(シーリング)
・雨樋のり(専用接着剤)
ホームセンターや通販で取り揃えられるので、探してみてください。
1階の屋根なら足場は不要ですが、2階の場合は転落事故が起きる可能性もあるため、必ず設置してください。
ハシゴのみだと足場が不安定で施工に集中できず、失敗する恐れがあるので注意しましょう。
足場の設置だけを依頼できる業者もあるため、探してみることをおすすめします。
まずは、雨樋をつけるための金具を設置します。
金具は集水器の位置が最も低くなるように取り付けることが大切です。
勾配がしっかりつけられているかは、タコ糸を張って確認するといいでしょう。
集水器に向かって水が流れるように金具が設置できていれば問題ありません。
次に軒樋(のきどい)、縦樋(たてどい)の順番に部材を設置していきます。
軒樋の長さが足りない場合は、軒継手を活用するといいでしょう。
縦樋は角度を変更するエルボや縦樋を繋ぐ縦継手などを組み合わせて取り付けていきます。
近年ゲリラ豪雨も増えているため、大量の雨水で自宅に被害が及ばないか心配される人もいるでしょう。
雨による被害を最小限に抑えるには、雨水に対する設備である雨落ちや雨樋を設けるのが得策です。
雨対策をしていても大雨による被害に遭う可能性はあるため、被害内容を知っておくことも大切です。
雨が住宅に及ぼす代表的な被害には、以下の3つがあります。
・雨漏り
・床下浸水
・雨樋が壊れる
それぞれの被害内容を以下でチェックしましょう。
大雨が降ると雨水が排水しきれず、雨漏りする可能性があります。
雨樋が原因の雨漏りを放置しておくと、屋根材に雨水が浸入し、下地まで劣化させるケースもあります。
屋根だけでなく外壁や窓から雨水の浸入もあるため、雨対策は徹底して行うべきでしょう。
外構まわりに水が溢れると、床下浸水の危険性が高まります。
雨落ちは外構まわりの雨対策ですが、大雨だと排水が上手くできない場合もあります。
さらにひどい場合は床上まで水が溢れるので、雨対策をしていても安心はできません。
雨が多い地域では、高機能な雨樋を用いて、安全な排水ルートを確保しておくことをおすすめします。
強い雨風で雨樋が破損するケースも少なからずあります。
また雨の量が多すぎると雨樋から排水できなくなって、本来の機能が発揮されなくなります。
排水できないほどの水圧が加わると、継手が外れたり破損したりするので、強い雨風が起きた次の日は雨樋の状態をチェックしておきましょう。
雨落ちと雨樋は希望に応じて選ぶと良いでしょう。
使い勝手やメンテナンスの利便性も異なるので、どちらの雨対策が住宅に最適かをよく検討する必要があります。
雨樋や屋根に関する相談は専門業者にするのがおすすめです。
雨樋の修理や施工は建築板金業者が請け負ってくれるため、まずは一度連絡をしてみましょう。
雨樋の修理をさらに知りたい場合は「自分でやる?雨樋を修理する時の7つの工程と交換時の大切なポイント」もチェックしてみてください。
内野 友和
この記事は私が書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。
父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。
20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。